お知らせ

デザイン誌「AXIS」1月号増刊 「Nikken Green Journey 日建設計 都市と自然の未来を描く」発売!

プレスリリース

25.12.23

デザイン誌「AXIS」1月号増刊 「Nikken Green Journey 日建設計 都市と自然の未来を描く」発売!

株式会社アクシス(東京都港区 代表取締役社長:朝香信雄)は、デザイン誌「AXIS」1月号の増刊「Nikken Green Journey 日建設計 都市と自然の未来を描く」を、2025年12月15日に発売いたしました。

加速度的に進む地球温暖化、相次ぐ自然災害、失われていく生物多様性......。私たちは今、自然との向き合い方を根本から見直す必要性に迫られています。日建設計では「みどりの復興」をテーマに、自然共生型の都市ビジョン、みどりを取り戻す戦略、その価値の可視化について検討してきました。本書では、そうした研究における成果をもとに、日建設計のランドスケープアーキテクトたちが、有識者との対話、世界の先進事例、ランドスケープの思想などを巡る"旅"を通して、未来に向けた新たな可能性を探ります。

株式会社 日建設計 https://www.nikken.co.jp/ja/

鼎談 
なぜ今、都市とみどりの未来を考えるのか
京都府立大学 准教授 松田法子 & 日建設計 都市・社会基盤部門 ランドスケープデザイングループ 小松良朗、金香昌治

深刻な地球環境の問題を抱える今、都市にみどりを取り戻すにあたって、どのようなビジョンをもち、いかに動くべきか。 都市史・建築史が専門で、土地と人間の関わりにくわしい京都府立大学 松田法子准教授と、日建設計の小松良朗、金香昌治が、その必要性と具体的なアプローチについて語り合った。

みどりを取り戻す4つの戦略 01 
建築との融合で都市に "みどりをちかづける"

日本は、国土の約7割が森林と言われるが、公園やパブリックスペースなど国民一人当たりの緑地面積は他の先進国と比べて小さい。気候変動や環境問題とともにウェルビーイングという観点からも、都市部においてみどりをいかに増やして いくかが課題である。日建設計では、ランドスケープと土木、建築が融合したアプローチによる、都市における「みどりの 取り戻し方」を4つのデザイン戦略に類型化。そのうちのひとつ、建築との融合で都市に"みどりをちかづける" 取り組み について、国内外のふたつの事例をとおして紹介する。

みどりを取り戻す4つの戦略 02
POPS(民有の公共空間)により都市の"みどりをつなぐ"

米国の造園家・都市計画家であるフレデリック・ロー・オルムステッド(1822〜1903)は、19世紀にいち早く「自然は贅沢品ではなく必需品である」と唱え、ニューヨークのセントラル・パークやボストンのエメラルドネックレスをはじめとする数多くの公園や緑地開発に取り組み、ランドスケープデザインの礎を築いた。現在、日本ではPOPS(Privately Owned Public Spaces/民有の公共空間)と呼ばれる、オフィスビルや商業施設など民間が所有するオープンスペース(公開空地)をつないでみどりを拡張していく緑地開発が行われている。ここでは、そうした公開空地によって"みどりをつなげる" 取り組みについて紹介する。

みどりを取り戻す4つの戦略 03
官民連携で都市の "みどりをひらく"

前章「POPS(民有の公共空間)により都市の"みどりをつなぐ"」では、民有のパブリックスペースを使って都市のみどりを拡張していく事例を紹介した。本章では、国や地方自治体が所有する都市公園の可能性について取り上げる。東京には、都市公園として国営公園が2カ所、都立公園が83カ所、区市町村立公園が8,586カ所あり(令和5年4月1日現在)、そのうち圧倒的な数を占めるのが市街や住宅地にある中小規模の公園だ。なかには現代のニーズに合わなくなったものもあり、施設の老朽化も課題となっている。人口減少などで地域財政が逼迫し、公園の整備まで手が回らない状況もある中、ひとつの方法として官民連携を進め、民間資本を活用することでより豊かな都市生活の舞台として公園の価値向上が期待される。

みどりを取り戻す4つの戦略 04
インフラの再生で都市の "みどりをひろげる"

より大きなスケールで都市のみどりをひろげていくために、インフラのストックをうまく活用できれば、社会的・環境的なインパクトのあるみどりの空間をつくり出すことができるかもしれない。経済が成長していた時代に建設された道路や鉄道などのインフラは老朽化し、人口減少や経済後退とともにその役目を終えるものもある。行政がリーダーシップをもってこれらを「グリーンインフラ」(自然がもつ多様な機能を賢く利用し、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラや土地利用計画)として再生し、まちづくりや防災、観光資源などに生かすプロジェクトが出てきている。

鼎談
ランドスケープデザインの歴史と思想から
東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 飯田晶子 & 日建設計 都市・社会基盤部門 ランドスケープデザイングループ 鈴木 卓、八木弘毅

時代とともに役割を変えながら、人と都市、自然をつなぐ営みとして発展してきたランドスケープデザイン。 その歴史と思想の変遷をたどることで、これからのあり方を探ることができるのではないか? イギリスにて、欧州における都市緑地政策や都市農業政策について研究中の東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻の 飯田晶子特任講師と、日建設計の鈴木 卓、八木弘毅が、ランドスケープデザインの思想と実践の両面から語り合った。

対談
グラングリーン大阪を巡る対話から見えた、都市とみどりのビジョン
建築家 藤村龍至 & 日建設計 都市・社会基盤部門 ランドスケープデザイングループ 小松良朗

西日本最大のターミナル「JR 大阪駅」に直結し、広大な都市公園を擁するグラングリーン大阪。 日建設計がランドスケープデザインを担当したこのプロジェクトは、みどりを取り戻すための4つの手法が網羅的に活用された開発だ。 建築家で神戸市をはじめ都市のシティマネジメントに携わる建築家の藤村龍至を現地に迎え、日建設計・小松良朗が、みどりがもたらす新しい都市像とその未来を語り合った。


目次

鼎談「なぜ今、都市とみどりの未来を考えるのか」
京都府立大学 准教授 松田法子 & 日建設計 都市・社会基盤部門 小松良朗、金香昌治
みどりを取り戻す4つの戦略 
建築との融合で都市に" みどりをちかづける"/ POPS(民有の公共空間)により都市の" みどりをつなぐ"/ 官民連携で都市の" みどりをひらく"/ インフラの再生で都市の" みどりをひろげる"
鼎談「ランドスケープデザインの歴史と思想から」
東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 飯田晶子 & 日建設計 都市・社会基盤部門 鈴木 卓、八木弘毅
対談「未来の風景を描く」
筑波大学 システム情報系社会工学域 教授 谷口 守 & 日建設計 都市・社会基盤部門 西 大輔
対談「グラングリーン大阪を巡る対話から見えた、都市とみどりのビジョン」
建築家 藤村龍至 & 日建設計 都市・社会基盤部門 小松良朗
みどりのものさし®
質の高い環境づくりへの指標
座談会「Nikken Green Journeyから見えた次の風景」
日建設計 都市・社会基盤部門 倉本明典、岩田友紀、大川雄三、平山友子
都市・人・自然の関係史
ランドスケープから見る社会の変化(1980-2025)
未来へつながる風景を探して
日建設計ランドスケープデザインの挑戦


増刊号について
デザイン誌「AXIS」の増刊として不定期で発刊。企業や団体のデザイン活動やプロジェクトについて一冊を通して紹介しています。未来に向けてのビジョンやフィロソフィーなどを体系的に語ることで、関係者だけでなく広く一般の読者にも訴求していきます。

「AXIS」増刊号は、全国有名書店ほか、各オンラインショップからもご購入いただけます。